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経営企画担当の実務上の視点

東証1部上場企業で経営企画担当のマネージャー職にあるものです。経営・事業企画担当の立場から M&A、事業戦略、IR、戦略法務についてアカデミック+実務の視点からの気付いた点や考えることについて情報発信していきます。

株主総会の事務局の方は本質を理解して業務をしていますか?

業務でドタバタしており、2週間ぶりにブログを掲載します。さて、3月期決算の企業は、株主総会の時期が近づいていると思いますが、各社とも総会実務ご担当の方はこれから大変忙しい時期に入るのだろうと思います。私も最初の会社に入った時は、商事法務業務全般を担当しており、定時株主総会も3年ほど事務局として経験したことがあります。総会の実務担当の多くの方と同様に、4月中旬頃から土曜日の出社は当たり前で、毎年ゴールデンウィークの最初の3、4日間はフルで上司と一緒に仕事という日々でした。

さて、今日書きたいのは、「総会の事務局担当の方は総会業務に過度に力を入れすぎていませんか?」ということです。
 
5月、6月の総会時期直前になると各社とも役員や事務局の方が非常にお忙しい様子ですが、本当に必要な作業であるのかを考える必要があります。何故ならば株主総会というものは、1円の利益も生み出す仕事ではないからです。総会の過去の事務局の経験を通じて、一番思うのは、自社が特段世間で目立つような企業でもないのに株主総会当日の株主からのQ&A対策はじめ株主対策に過度に力を入れている会社が多い印象を受けます。

消費者向けのいわゆるBtoCの商売をしている、航空業界、サービス業界、鉄道業界などは毎年の株主総会の招集通知を見れば分るように分けのわからない株主が株主提案として、どうでもいいことを会社の事業目的に追加しろとか社名を変更しろといった提案を会社法の規定に則り権利行使をしてきます。この場合には、当然に総会当日もこういう輩が何を主張してくるか分からないので、十分なQ&A対策をするということも良く理解できます。

しかし、部品メーカーはじめいわゆる世間で目立たない企業はここまで行う必要性は不要だと思います。より正確に言えば、世間一般で知名度もなく、かつ過去に株主総会特殊株主で荒れたような経験もない企業です。総会で荒れることもないのに、このような収益を生まない業務に過度に経営資源を割くのは無駄ですよね。
 
とすれば、総会担当者がまずやるべきは、自社の3月末の株主状況を見て、特殊株主に株付けされていないかどうかを見て、さらに事前の株主からの質問状や株主提案もないのであれば、総会当日に参加する株主は言ってみれば、ずぶの素人なので、総会のQ&Aなどに過度の時間をかける必要はないのです。この本質を理解していないと、総会にOBのお年寄りや土産目的で参加した個人株主の素人質問に過度に敏感になって過度な対策を講じ、結果、1円の利益も生まない総会業務に貴重な役員の時間も費やすことになるのです。
管理部門や経営企画部門を担当していない役員は、株主総会の本質やわずか1%以下の比率の株主が持つ権利の意義を理解されている方も大変少ないと思いますの、忙しい役員に無駄な時間を割いて頂くことのなきよう理解していただく必要があります。

総会のQ&Aの作成を事務局が各部門に依頼するにしても、「あくまで個人株主の一般的な質問を前提に作成して下さい」ということを言えば、簡潔で必要最低限の内容で済むのです。まず会社の内部者しか知らないような細かいことをわざわざQ&Aを作成するということは、時間の無駄以外の何ものでもありません。そもそもアナリスト説明会でプロであるアナリストの質疑応答をしている役員が、すぶの素人の株主の質問に答えられないということはまずないのです。
 
総会の実務担当者がそもそもこれらのことを理解していないとどうしようもないのですが、本質を理解して効率的な業務を進めるのが肝要と思います。