コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

持分法適用会社を保有する意義は?(1)(東芝機械の持分譲渡のケースを例に)

先日東芝が持分法適用会社として保有する東芝機械の株式の一部を売却する(20.1% のうちの18.1%)との報道がありました。持分法適用会社とは20%超の株式を保有する投資先の会社のことをいいますが、そもそも持分法適用会社(以下、対象会社と いいます)を保有する意義はどこにあるのかということについてあらためて考えてみま した。

私の考えるところでは、次の3つほどかなと思っています。
①対象会社の利益を取り込むこと ②取引上のメリットを享受すること ③対象会社の敵対的買収リスクを低減するため

他にも色々とあるのかも知れませんが、順不動になりますがまずは②、③の順で考え、最後に①について考えてみたいと思います。

まずは②の取引上のメリットですが、これは保有することで取引面のメリットを享受することです。対象会社が自社にとって重要な経営資源をもつ場合、20%の株式を取得して筆頭株主になることで経営に影響を及ぼす、自社に有利に経営資源を利用できるようにするというメリットです。

しかし、ここで考える必要があるのは、具体的にどのようにして経営に影響を及ぼすことが出来るかです。事業への影響力の行使を考える場合には、対象会社の株主総会を通じての影響と取締役会を通じての影響の2つの場合を考える必要があります。

株主総会を支配するには50%超の株式保有が必要になるところ20%では支配することはできません。
次に取締役会での支配ですが、取締役会は出席取締役の過半数の賛成で決議されますので、対象会社の取締役会の員数が5名の場合、3名が自社サイドの取締役である必要があります。なお、取締役会の決議は「出席取締役」の過半数ですので、何らからの圧力や懐柔策によって(刑法に触れる方法はNGですね)、出席取締役の員数を減らせば、有利に取締役会を運営できる方向に向かいますが、これはあ くまでも例外的な措置です。

しかし、20%の出資で取締役の過半数を派遣すると いうことは現実的ではありません。

とすると、20%の出資で影響を行使するには筆頭株主として事実上の影響を及ぼしていくことになりますが、対象会社との間で経営・事業の運営方針に対立が生じたような場合には、法的に優位に立てるということにはならないことに注意する必要があります。

この辺りのことを良く理解していないと、20%も出資しているから思いのままに出来るなどと考えてしまうと痛い失敗をすることがあります。

東芝機械のケースでいいますと、新聞報道では東芝本体と東芝機械との取引金額は3%以下のようです。逆にいうと東芝機械は、東芝以外の多くの顧客に製品を販売 していることになります。とすると、そもそも東芝機械を保有するということは、過去は分かりませんが、現時点では有用な経営資源を囲い込みたいということは目的にないように思えます。

次に③として敵対的買収のリスクの低減のための安定株主としての株式保有がありますが、長くなりましたので、残りの③と①の点は次回に分けたいと思います。