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経営企画担当の実務上の視点

東証1部上場企業で経営企画担当のマネージャー職にあるものです。経営・事業企画担当の立場から M&A、事業戦略、IR、戦略法務についてアカデミック+実務の視点からの気付いた点や考えることについて情報発信していきます。

安定株式(安定株主)の見直しの必要性

最近、コーポレートガバナンス・コードの影響もあり、持合株式の解消の動きの中、安定株式比率というものに対して各社関心が従来より高いと思います。

安定株式とは、自社の発行済株式のうち、安定して保有されている株式数でありそれを保有する株主がいわゆる安定株主になります。つまり短期的にキャピタルゲインを得る目的で株式の売買を行わない株主のことになります。

安定株式数が多いと会社は、自社の経営に賛同してくれる票を確保することができますので、より具体的には株主総会で会社提案議案の賛成票を確保できるというメリットがあります。

安定株主が20%しかいない場合には、株主総会で議案を可決させるには、普通決議議案の場合(取締役選任議案など)議決権の過半数を有する株主の賛成(50%超の賛成)が必要であるところ、20%分は賛成票が確保できますが、残り30%分の賛成票を確保しなければなりません。しかし、仮に安定株主が40%であれば、残り10%分の賛成票を集めることで足り、会社としては議案の成立に費やす労力が大きく異なってきます。

では、この安定株式の具体的な内訳は、どう考えればよいでしょうか。

安定株式比率の数値を開示している会社は見たことはまずありませんので、各社内部数値としてもっているだけなので、正確な基準はないと思います。その意味で各社異なるとは思いますが、自社の取引先、自社の取引銀行、個人のうちの役員OB、持株会が保有する株式などは安定株式数にカウントしている会社が多いのではないでしょうか。

この中で注意すべきは、取引先の保有する分です。

従来であれば取引先が保有する分は政策保有株式として、取引先が売却することはありませんでした。しかし、コーポレートガバナンス・コードの影響もあり、各社とも解消の動きにあります。すると、将来に亘って安定的に保有してくれるというものではなく、場合によっては、明日にでも売却される可能性があるのです。実際には売却する場合には、会社の方に事前に断りを入れるとは思いますが。

従い、上場企業としては、従来の安定株主の構成を見直すとともに、これまで安定株主でなかった株主、例えば個人株主にも会社の魅力、つまり将来に亘って株主が納得する配当を得られるといったことを説明して長期に亘って保有して貰う努力がこれまで以上に必要になるのではないでしょうか。

ただし、どんなに会社が努力をしても個人株主を真の意味で安定株主と位置付けることは困難ですので、やはり会社としては、事務方は大変になりますが、日頃の企業活動や将来の事業の収益について理解を頂き、株主総会では株主の賛同を得るという当たり前の行動が益々重要になるのではないでしょうか。