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経営企画担当の実務上の視点

東証1部上場企業で経営企画担当のマネージャー職にあるものです。経営・事業企画担当の立場から M&A、事業戦略、IR、戦略法務についてアカデミック+実務の視点からの気付いた点や考えることについて情報発信していきます。

株主総会の議決権行使の個別開示

昨日の新聞報道で三菱UFJ信託銀行株主総会での議決権行使結果の個別開示の方針を決定し、他の機関投資家も採用する方向との報道がありました。

機関投資家は多くの企業の株式を保有しており、これまでは投資先企業の株主総会での議決権行使結果については、議案毎に全体総数ベースで賛成比率、反対比率を開示するのが一般的かと思います。つまり、投資先企業が100社あるとしますと株主総会議案に投票した結果、賛成70社、反対30社というように全体数や賛成比率の総数を公表します。

しかし、個別開示になりますと、A社の取締役選任議案については、賛成、反対というように個別の企業毎の議案の賛成を開示することになると思います。これにより、機関投資家は、自社への投資資金の委託者であるオーナーに対する説明責任が求められることになります。また、個別開示の作業に対する作業量も従来に比べて大きく増えるのではないでしょうか。

一方、企業サイドにはどのような影響があるでしょうか。

これは私見ですが、議案によっては賛成率が低下するように思えます。
機関投資家が個別に開示するということは、機関投資家への投資資金の委託者であるオーナーに対する説明責任の観点から、賛成の理由を明確にオーナーに説明できない議案については、反対ということになると思います。つまり賛成した理由について、より明確な説明が求められるのです。

とすると、例えば、数年毎に株主総会に上程していた買収防衛策議案、社外取締役として十分な責務を果たしていない、つまり取締役会への出席率が低い社外取締役の選任議案などは機関投資家の賛成を得るのが厳しくなってくることが考えられます。

企業サイドとしては、株主総会の招集通知の発送後に機関投資家を個別訪問して議案の説明をする、招集通知や事業報告の記載内容を充実させる、さらには日頃において機関投資家とのコミュニケーションを密に行うということが今後益々重要になってくると思われます。一方でフェア・ディスクロージャーの課題もありますので、今後各社はどのように行っていくのか興味深いところです。