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経営企画担当の実務上の視点

東証1部上場企業で経営企画担当のマネージャー職にあるものです。経営・事業企画担当の立場から M&A、事業戦略、IR、戦略法務についてアカデミック+実務の視点からの気付いた点や考えることについて情報発信していきます。

基本的な会計・株式指標について②:PBR(株価純資産倍率)

前回、ROEについて話をいたしましたが引き続いて株式評価指標の1つであるPBRについて、敵対的買収のリスクを絡めて書いてみたいと思います。

PBRとは株価純資産倍率のことで次の算式で算定されます。
PBR(倍)=株式時価総額÷純資産(株主資本)

この指標の意味するところは、企業の純資産に比べて時価総額が高いか否かを判断するものです。株式時価総額とは、その企業の株式価値の市場での評価であり、一方、純資産とは企業に出資している会計上の株主の持分と言えます。厳密にいいますとPBR算定で使う純資産は、株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金)に限定するのが正確かとは思いますが、純資産を構成するものは、通常株主資本が大部分かと思いますので、ざっくりとしたレベルでは純資産を分母にしても大きな問題はないように思えます。

PBRが1倍を超えている場合には、市場でその企業の株式が高く評価されていることになります。一方で、PBRが1倍を下回っている場合には、会計上の株式価値よりもマーケットで評価される株式価値が低いことになりますので、いわゆる割安株ということになります。

では、1倍を下回る場合には、敵対的買収との関係ではどのようなリスクがあるでしょうか。
結論からいいますと、PBR1倍を下回る企業は敵対的買収のリスクがあるということがいえます。仮に純資産(株主資本)100億円、時価総額50億円の会社があるとするとこの会社のPBRは0.5倍(=50÷100)になります。そこで、この会社を買収しようとする場合、時価総額に仮に30%のプレミアムを付けても(通常上場企業をTOB(公開買付)で買収する場合には時価総額も1つの目安になり、これに一定のプレミアムを載せた金額が買収提案額となることが多いと思います)65億円で買収できます。
とすると、仮に純資産(株主資本)100億円が、これが全て現金としてバランスシートの左側に計上されているとした場合、買収者はこの会社を解散・清算することで、100億円のキャッシュを得て(債権者への弁済などは考慮していません)、投資額との差し引きで35億円儲かることになります。

このようにPBR1倍を下回る場合には、買収というリスクは少なからず出てきます。

そこで、企業サイドとしては敵対的買収を防ぐには、株価を上げる努力(基本的に企業の評価は業績が何より重要ですが)をすることになります。株価をあげて時価総額を高めるのです。上場企業は株価を挙げることが企業価値を高めることと良く言われることですが、これは株主のキャピタルゲインという視点からも重要ですが、企業自身の防衛という点で大切になります。