2016年10月25日の日本経済新聞で統合報告書を作成した会社が320社に上るとの記事がありました。背景としては海外の投資家によるESG投資への関心の高まりを受けて各社とも関心が高まっているというようなことが書かれていました。ちなみに、ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を 取ったものです。
上場企業であれば毎年アニュアルレポート(日本語版・英語版)を作成しているのが通常ですが、ある企業の統合報告書を見たところ従来のアニュアルレポートと比較して、事業の全体像の説明が詳しくなっていたり、CSR(Corporate social responsibility)の説明に割いたページ数が多くなっているようです。要するにアニュアルレポートにESGに関する情報を追加して、アニュアルレポートをより充実させたのが統合報告書のイメージでしょうか。
ちなみにアニュアルレポートとは、会社が年1回の頻度で自社の事業概況や過去決算数値はじめ会社情報を記載して、公表している冊子になります。私の印象では、10年以上前は英文版がほとんどでしたが(海外投資家への説明のため)、最近は日本語版と英語版の2つを発行する会社が増えてきたと思います。更にいいますと、金融商品取引法に基づき会社が作成する有価証券報告書がありますが、有価証券報告書は文字と数値の羅列ですが、アニュアルレポートの方は任意の書類ですから、数値もグラフに並べるなど記載も各社各様で読みやすくなっています。
さて、少し前置きの説明が長くなりましたが、ESG投資の名前は数年前から耳にするようになりましたが、その背景はどこにあるのでしょうか。
そもそも投資家の企業に対する投資目的は「儲ける」ことにあります。儲けるとは、株式を購入して購入価額より高い価格で売却してキャピタルゲインを得ること、または株式を保有して配当を得ること(インカムゲイン)かと思います。ということは、投資家の投資対象となる会社は、儲かっている会社なのです。
儲かっていないと、株価も上がらないのでキャピタルゲインも小さくなるし、配当の原資となる利益の蓄積も小さいので、「うちはESG頑張っています」と企業が言っても、「そんなことより業績を良くして儲けて下さいよ」というのが投資家の要望になります。
ESG投資の高まりの背景には、色々とあるのか知れませんが投資家の本音は前述のとおりでしょう。とするとESG投資なるものが話題になっている理由が良く分かりません。そうはいってもESG投資は最近のホットな話題であり、企業(上場企業)によっては、真面目に取り組んでいるところもあるようですから、ESG投資について引き続き少し調べてみたいと思います。