コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

金融庁のディスクロージャーワーキング・グループ報告の概要

少し前になりますが、2018年6月28日に金融庁ディスクロージャーワーキング・グループが報告を公表しておりますので、本日はこれについて少し触れてみたいと思います。内容は有価証券報告書の開示に関する考え方をまとめたもので、おおむね次のような内容が記載されていります。

<経営戦略・ビジネスモデルの開示>
依然として開示内容が不十分な企業が多い。英国の例を参考に、企業構造、事業市場と関連付けて、事業計画・方針を明確に説明し、企業成長、業績、将来見込みの評価に資する情報が提供されるべき

<リスク情報の開示>
リスクの羅列となっており、数年間記載の変化のない企業も多い。英国の開示例を参考にリスクの重要度の順に、発生可能性・事業に与える影響等企業固有の事情に応じた実効的なリスク情報の開示をする必要あり

<分かりやすい開示>
諸外国(米国・英国)の取り組みも参考に、投資家にとって重要な情報を十分・正確に提供するため更なる取り組みが必要

<政策保有株式の開示>
・合理性検証方法や取締役会における議論状況について開示すべき
・個別政策保有保有目的・理由について、定量的な効果も含めての具体的記載を求める
・有報開示基準に満たない銘柄も含め、売却・買い増した銘柄の詳細の開示
・開示対象銘柄の拡大
・純投資と政策投資の区分の基準や考え方の明確な説明
・純投資株式についても一定の開示

<重要な契約>
米国では、契約書の内容が開示されているが、日本では開示が不十分。投資家の判断で重要と考える契約内容について、海外の実態を把握しながら適切な開示を促す

<ガバナンス情報の提供>
役員報酬の考えの分かりやすい記載。算定にKPIがある場合、KPIの選定理由、業績連動報酬反映方法の記載。報酬決定プロセスの客観性・透明性のチェックを可能にするため、報酬委員会の具体的活動内容の開示。日本は役員報酬が低いので、個別開示の対象拡大は必ずしも重要でない

などです。

色々と書いてありますが、目的は、「企業情報の開示は、資本市場における効率的な資源配分を実現するための基本的インフラであり、投資判断に必要とされる情報を十分かつ正確に、また適時にわかりやすく提供することが求められる」とあります。

たしかに、色々な投資先企業の有価証券報告書を見ますが、リスク情報の開示、重要な契約の開示、政策保有株式の開示は、各社の書き方がひな型的との印象は受けます。

上場企業は開示が大変になる一方です。詳細開示をすれば投資家から質問が出るし、また、開示が不十分であると、開示の不十分性が問題と指摘されるということのような気がします。物言う株主からのも指摘を受ける可能性もあります。

以前にもブログで書きましたが、上場の意義は資本市場からの資金調達ですが、この必要のない企業はMBOによる非上場化するということを真剣に考えないと、無題にコストばかりかかることになるような気もいたします。開示のための準備、開示を踏まえた対応といったコストです。

上場廃止すると優秀な学生がこないという声も聞きますが、そもそも、上場していても中堅規模以下の企業であれば、どの道、偏差値の高い大学(ざっくりといいますと、東大・一橋・旧帝大早慶上智クラスでしょうか?)の学生が来ることは想定しがたいのであって、そんなことに悩むよりも(そもそも優秀な学生の判断基準である大学の「偏差値」の差など仕事の上では、東大・京大・一橋大学の一部の優秀な方を除けば、偏差値の高い大学も低い大学も、知織ゼロベースで会社に入り、「よーいどん」で競争すれば、たいして違いはないはずです。要は、仕事に対する意識が高いか低いかで差がつくのではないでしょうか)、非上場化して、うるさい株主の目を気にすることなく、企業価値向上に邁進できるような気がします。

経産省が「M&Aの在り方に関する研究会」を設置

経済産業省が、11月7日にM&Aの在り方に関する研究会の設置を公表しました。

経産省は平成19年9月に、「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」(MOB指針)を公表していますが、今回、この指針の見直しの要否を含め、公正なM&Aの在り方について検討するようです。

経産省のホームページに、次のような記載がされています。

「MOB指針の策定から既に10年が経過しており、その間、実務、裁判例や議論の蓄積が見られます。また、社外取締役の選任の増加をはじめとするコーポレートガバナンス改革の進展や株式保有構造の変化等、上場企業を取り巻く社会経済状況にも変化が生じており、こうした状況を踏まえて、MBO指針の見直しについて検討する時期に来ているとの指摘があります。また、MBO指針は、利益相反構造のあるM&Aのうち、MBOを中心に提言を行ったものであるところ、親会社が上場子会社を完全子会社化する場合をはじめとする支配株主による従属会社の買収等、MBO以外の利益相反構造のあるM&Aについても論点整理を行うべきとの指摘もあります。以上を踏まえて、MBO指針の見直しの要否を含めて、我が国の公正なM&Aの在り方について検討を行うため、今般、「公正なM&Aの在り方に関する研究会」を設置することとしました。」

平成19年公表の指針は、名称だけは知っていましたが、内容は読んだことはありませんでした。

MBOと言えば上場廃止の1つの手段でもあります。MBOの課題としては、マネジメントが自社を買収する上で、適正価格を下回る買収価格を設定した場合、対象会社の役員と買収する会社の役員ということで利益相反が起こり、結局は、対象会社の株主が損害を被るのではないかという点です。

この研究会は、11月9日(金)に第1回会議が開催され、今後、毎月1回程度開催し、来年春を目途に議論の取り纏めを行う予定のようです。

この研究会もどこまで資料や議議事録が公表されるものかは分かりませんが、MOB指針を読むとともに、情報をウォッチして行きたいと思います。

スマホゲーム関連銘柄の紹介:株式会社GameWith(6552)

本日はゲーム関連銘柄について紹介したいと思います。

銘柄は、東証マザーズに上場している株式会社GameWith(証券コード6552)になります。同社は、2013年6月設立、2017年6月に上場したスマホゲームの攻略情報メディアサイト「GameWith」を運営している企業です。

同社の業績は、次のとおりになります(単位:百万円)
  
          売上高  営業利益 営業利益率 当期純利益 ROE

15年5月期     389   127 32.6%   92   21.3%
16年5月期     994   330 31.9%  220   26.0%
17年5月期   1,581   657 41.6%  465   39.0%
18年5月期   2,677 1,168 43.6%  816   41.1%
19年5月期(予)3,154   905 28.7%  623 
         
2015年5月期以降、毎期、増収増益となっていますが、2019年5月期は増収減益の予想となっています。

同社の2019年5月期(つまり2018年6月1日から2019年5月31日までの期間)の第1四半期決算説明資料を見ますと、次のような記述があります。ちなみに、決算説明資料とは、決算を公表した後にアナリスト説明会を開催する企業が決算の概況等をまとめた資料です。

・戦略投資期間と位置付けた今年度は引き続き新規事業・海外展開に資源投下の方針
・2018年から2020年の事業構想
 ①海外展開の本格化:英語圏に本格算入し、海外展開を加速
 ②新規事業領域への挑戦:既存のメディア事業以外の様々なゲーム関連領域に展開
・eスポーツ関連で参入したのプロチーム運営は、1stシーズンはアジア2位と躍進
・積極的な人材採用を推進。2018年5月期の第1Qと比較すると69名増加
 <人材関連費用>(単位:百万円)
 18年5月期1Q 203
       2Q 215
       3Q 240
       4Q 312
 19年5月期1Q 348 → 前年同期比で71%増加

決算短信は数値の羅列ですが、決算説明会資料は関連情報もよくまとめられており、見たことのない方はじっくり読むと良いかと思います。

2019年5月期の予想は、トップラインである売上高は引き続き増加の予測ですが、今後の更なる成長のための投資費用が増えたため営業利益は一時的に減少ということかも知れません。

eスポーツにも力を入れているようです。eスポーツに関しては、少し前にTBSの番組「情熱大陸」で、たしか東京大学を出てプロゲーマーを職業としている方が紹介され、米国ではeゲームが市民権を得ており、市場規模も大きいということでした。

eスポーツがオリンピックの競技となるかどうかという話題もありますが、市場は拡大しているようです。市場規模などの詳細まではまだ調べていませんが。

個人的には、小学生以来、ほとんどゲームをしたことがなく、勿論スマホでゲームなどしたこともないので、ゲームの何が面白いかは全く理解できないところではありますが、この会社の株価は年初来高値が2,450円で年初来安値が913円で、自己資本比率も良いことから、先週、投資をしました(ちなみに本日の終値は923円です)。

今は市場全体で株価が大きく下がっているので、個人投資家にとっては色々な銘柄を仕込むに良いタイミングかも知れません。

機関投資家協働対話フォーラムが買収防衛策の必要性に関するレター送付を開始

機関投資家協働対話フォーラムが「資本市場の評価を下げるリスクを踏まえた買収防衛策の必要性」のレターを、2019年に防衛策の更新期限が到来する企業を対象に送付開始(10月10日頃より順次)したとのことです。

機関投資家協働対話フォーラムとは、2017年にスチュワードシップコード改訂で集団的エンゲージメントが規定されたことを受け、機関投資家のスチュワードシップ活動に資するよう、機関投資家による協働での企業との対話を支援する目的で同年10月に設立された一般社団法人になります。

本フォーラムに参加する機関投資家は、企業年金連合、三井住友アセットマネジメント、三井住友トラストアセットマネジメント、三菱UFJ信託銀行りそな銀行で、意見を取交し、対話に係るアジェンダを設定、共有の見解をまとめ企業に提示するという活動をしています。

フォーラムによるレターの提示は、今回が第4弾ということで、これまでに、①不祥事発生企業に情報開示を要求するレター ②経営トップの取締役選任議案に相当数の反対のあった企業に原因分析の要求を求めるレターなどを送付しています。

レターの内容ですが、買収防衛策は次のような理由で問題であり、資本市場からの評価を下げるものであり、仮に継続するのであれば、継続による投資家からの信頼低下をどう考えるか、また、企業価値の評価を下げるリスクがある中での継続理由は何かなど、必要性について招集通知や適時開示資料で開示することを求めるというものです。

<問題>
・防衛策導入の理由である濫用的買収のリスクは、金融商品取引法が整備され、今や小さい
・海外競合会社による技術の海外流出の未然防止のため買収防衛策を有する企業もあるが、この場合、正当目的の買収は防止できない
・買収防衛策を持つことで、経営陣の経営に対する規律性が弱まり、株主による付託への緊張感が薄れ、経営に甘さが出る
・防衛策を有することで投資家はガバナンス評価をディスカウントして企業価値を評価する など

フォーラムに参加の機関投資家が共同でレターを提示しますが、投資先企業の回答を踏まえて各社が買収防止策議案をどう評価して、賛成・反対のいずれの議決権行使をするかは各機関投資家の判断に委ねられることになります。

レターの内容は、フォーラムのホームページにアクセスすれば見ることができます。

買収防衛策議案への反対率の高まりも背景にあり、来年防衛策の更新期限を迎える企業は年明け頃から機関投資家を訪問して、防衛策に関して賛成が得られるのか感触を探ることになると思います。

フォーラムに参加する機関投資家を訪問する際には、当然ながらレターの内容の質疑応答が求められると思いますので、十分な事前準備が必要になってきます。

防衛省がサイバーセキュリティー強化に向けてホワイトハッカーの採用強化

本日の日本経済新聞自衛隊がホワイトハッカーの採用に力を入れるとの記事がありました。

ホワイトハッカーという言葉は、私は初めて聞いたので、ネットで検索をしたところ、コンピュータやネットワークに関する高度や知識や技術を持つ者を指す呼び名のようです。

記事をご覧の方も多いと思いますが、政府は、陸海空の次に新たな戦場として、サイバー分野を位置付けており、自衛隊内部の育成では限界があり、民間人材を活用して国のサイバー強化に当たる方針のようです。

防衛省のサイバー防衛策として、次の4つが記事に記載されていました。
・ 民間のトップ人材を任期付で採用
・ マルチウエア解析などを外部委託
・ サイバー自衛隊の人員の5割増
・ NATOの拠点に職員派遣、演習参加

また、政府は、防衛大綱を年末に見直す中で、サイバー防衛の能力強化を打ち出す方針のようです。


サイバーセキュリティー関連については、以前にも書きましたが、国立大学のサイバーセキュリティー脆弱性が指摘されており、また、五輪開催国ではサイバーリスクが大きく高まるといわれています。

サイバーセキュリティー関連銘柄は色々とありますが、私は関連銘柄としてセグエグループ(3968)とソリトンシステムズ(3040)を保有しています。

私のようなITの素人にとってのサイバーセキュリティー関連銘柄の問題は、サイバーセキュリティー関連銘柄がどれであるかは選別できるのですが(といってもインターネットや四季報オンラインでのスクリーニングですが)、各社の事業内容を同業間で比較して、どこがどう優れているかが、いちまいち判断が出来ない点です。

ITの門外漢には理解が難しいところですので、今後、どの銘柄を購入したら良いか不安な方は結構多いのではないでしょうか。

ひとまず、今期及び来期ともに業績も好調で、比較的株価の安いサイバーセキュリティー関連銘柄をまずは購入して、その会社の株主総会に出席して色々と細かい情報を株主総会の会場で質問して聞いてみるというのも効果的であるように考えています。

日本アンテナ(6930)の財務分析

前回に引き続き、中小型銘柄、かつ割安銘柄企業の財務分析として、日本アンテナ(6930)を分析してみたいと思います。

同社は東京都荒川区に本店のある東証ジャスダックの上場会社です。売上高は2018年3月期で143億円、従業員数は連結ベースで約400名程度、株式時価総額は108億(10月18日現在)の中小型銘柄です。

同社の2018年3月期の決算短信及び有価証券報告書からポイントとなる財務情報を拾いますと、次のとおりになります。

 

数字は千万円単位を四捨五入して丸めています。

売上高      144億円(月商 12億円)
現金及び預金   115億円
政策保有株式    11億円(有価証券報告書記載「純投資目的以外の投資株式」)
有利子負債      0億円(BSの短期借入金+長期借入金)
ネットキャッシュ 126億円
総資産      243億円
流動資産     193億円
流動負債      32億円
株主資本     196億円
時価総額     100億円(10月18日)
配当性向    136.6%

上記の基礎データから分析をすると次のとおりになります。
流動比率             603%
株主資本            80.7%
ネットキャッシュ対株式時価総額  126%
ネットキャッシュ対総資産      52%
ネットキャッシュ対月商       11倍
PBR(株主資本÷時価総額)   0.51倍

数値を見て分かるとおりキャッュが潤沢で、株価が割安であることが分かります。

ここで1つ留意すべきは、同社は本年3月末現在で合同会社M&Sが約3%の株式を保有し、大株主となっています。合同会社M&Sは投資ファンドであり、世間では物言う
株主と言われております。

ここでこの投資ファンドの投資の意義について触れてみたいと思います。

同社のホームページを読むと、同社の方針として「強く意志ある投資で世界経済にインパクトを与える」とあります。個人的には、投資の強い意思を端的にあらわす非常に印象に残るフレーズと感じました。

何度かブログで書いておりますが、個人投資家は、資金力に乏しいため投資先に会社法上の権利を主張するのは単独では難しく、結果、株式を購入した後は、投資先企業の株価があがること、配当を増やしてくれることを「祈る」ことしか現実には出来ません。

しかし、会社法における規定では、株主とは会社の実質的所有者であり、議決権の行使を通じて自分たちが選任した役員を通じて会社の経営に参画できることが本来の権利です。しかし、経営を付託した役員が株主の意思に沿ったパフォーマンスを上げていない場合であっても役員を解任することができず、つまり、個人投資家は会社の経営に参画すらできないのです。

このような中にあって、投資ファンドは「強い意思ある投資」をして、経済的弱者である個人投資家に代わる役割を果たしてくれることになります。

ところで、投資ファンドは、企業価値があがった時点で売却するということになります。

日本アンテナの株価は現在740円で、合同会社M&Sがいくらで株式を取得し、今後、追加取得するのかどうか分かりません。合同会社M&Sがどう今後動いていくのか興味深いため、日本アンテナの事業内容や将来性は良くわかりませんが、自分の勉強目的のため、先日、日本アンテナの株式を最低投資単位購入してみました。

基本的には、今後M&Sが日本アンテナに何らかの提案をした場合には私は100%賛同することになると思いますが(もっとも、最低投資単位の株式保有など、ある意味ゴミのような投資単位ですので、私の議決権行使など日本アンテナの経営に対する何の影響も与えるものではありませんが)、M&Sの今後の動きに関心をもって見て行きたいと思います。

中堅アパレル会社である株式会社キングの財務分析

今回は、時価総額の小さい中小型銘柄でありかつ割安銘柄企業の財務について物言う株主目線から何が言えるか分析してみたいと思います。

対象銘柄は、ミセス女性向けの中堅アパレル会社である株式会社キング(証券コード8118)です。

同社は大阪に本店のある社歴約70年の東証1部上場会社です。売上高は約110億円程度で、従業員数は連結ベースで約200名程度、株式時価総額は約100億円程度の中小型銘柄です。

同社の2018年3月期の決算短信及び有価証券報告書からポイントとなる財務情報を拾いますと、次のとおりになります。


数字は千万円単位を四捨五入して丸めています。

売上高       117億円(月商 10億円)
現金及び預金     86億円
政策保有株式     17億円(有価証券報告書の「純投資目的以外の投資株式」)
有利子負債       4億円(BSの短期借入金+長期借入金)
ネットキャッシュ   99億円(現預金+政策保有株式-有利子負債)
総資産       247億円
流動資産      131億円
流動負債       26億円
株主資本      203億円
時価総額      113億円(10月17日時点)
配当性向      37.8%

上記の基礎データから財務分析をすると次のとおりになります。
流動比率             504%
株主資本            82.1%
ネットキャッシュ対株式時価総額 87.6%
ネットキャッシュ対総資産      40%
ネットキャッシュ対月商       10倍
PBR(株主資本÷株式時価総額)  0.55倍

数値を見て分かるとおりキャッュが潤沢で、株価が割安であることが分かります。

また、同社は買収防衛策も導入しております。決算短信を読むと、投資家向け説明会が「無」となっております。時価総額も低いのでカバレッジするアナリストもいないため開催していないのかも知れません。

コーポレートガバナス・コードの観点などを踏まえると物言う株主の目線からは、キングに対しては、次のようなことが言えるように思います。

・買収防衛策の必要性はあるのか
・政策保有株式が多い。有報で見ると「取引関係等の維持・強化」「参考情報の取得」とあるが、これは政策保有株式の保有理由としては抽象的。コーポレートガバナンス・コードの要請から保有の必要のない政策保有株式は売却する必要があるのでないか。
・政策保有株式を売却して換金すれば十分なキャッシュが出来るので、配当性向は更に高めることが出来るのでは。株主に還元しないなら、余剰資金の使途は何であるのか

・ROEが低い。ROEは株主が会社に期待するリターンである株主資本コストを上回る必要があるが、株主資本コストの数値はどう考えているのか。
・取締役に女性取締役がいないがどう考えるのか。女性向けのアパレル会社であれば、コーポレートガバナンス・コードが求めるように女性の取締役が必要ではないか など

なお、政策保有株式については、キングのコーポレートガバナンス報告書を見ると次のような記述があります。

原則1-4.いわゆる政策保有株式
「主要な政策保有株式については、そのリターンとリスク等を踏まえた中長期的な観点から、定期的に検証を行い、継続保有の是非を検討し、これを反映した保有の目的等について対外的に具体的な説明を行うものとします。」

保有の目的の対外的な説明を行うとありますが、アナリスト説明会も開催していない会社がどういう機会で具体的な説明を行うのでしょうか。物言う株主から色々と突っ込みを受けるネタのある会社かと思います。

ちなみに、同社に株主提案をするには、300単位(30,000株)が必要ですので、本日の株価454円ベースですと、約1,300万円ほどの投資資金が必要になります。

普通の一般の個人の方では,1300万円の投資は難しいと思いますが、物言う株主である投資ファンドが数パーセントを保有すれば、同様の提案をする可能性があるかも知れませんので、物言う株主がこの会社の株式取得をすることを期待して、今のうちから株式を仕込んでおくのも良いかも知れません。

日本株の投資部門別株式売買状況(10/1~10/5)

東証が公表の10月1日から5日までの投資部門別の株式売買状況をお知らせします。

10/1~10/5
東証1部)
海外投資家  売り 92,642億円  買い  98,599億円 
個人     売り 22,861億円  買い  22,801億円

海外投資家は、5,957億円の買越しで、個人は60億円の売越しになります。

 

東証JASDAQ)
海外投資家  売り  1,297億円  買い      1,204億円
個人     売り  2,132億円  買い   2,254億円

海外投資家は、93億円の売越しで、個人は122億円の買越しになります。

 

日本株の売買部門別の株式売買状況を前回に続いて書いてみましたが、ここから話が発展することもなく、ブログで継続的に記載することはあまり面白いものではないような気がしてきましたので、ひとまず次回からの掲載はやめます。

とはいっても情報自体は重要ですので、個人投資家の方は、毎週木曜日に東証のホームページから数値を見ておく必要はあると思います。

次回のブログは個別企業の分析について紹介したいと思います。先週からPBRが1倍割れで株式時価総額100億円程度のキャッシュリッチの銘柄(東証1部)をいくつか購入しました。今週もさらに2銘柄ほど購入しようかとスクリーニングしています。

次は、これら銘柄について、具体的に購入した銘柄名をあげて、公開情報をベースに財務面を中心に課題が何であるのか、また、仮に株主アクティビズムを行うとした場合にどういうことがこの会社に提案できるかをブログで紹介して行きたいと思います。

 

日本株の投資部門別株式売買状況(9/25 ~ 9/28)

東証が毎週木曜日に投資家別の株式売買状況を公表しています。

売買金額や全体の売買に占めるシェアなどが開示され、各参加者の売り買いを把握でき、日本の株式市場の需給状況を知る一つの手掛かりになり、取引シェアの半数以上を占める外国人の動向は、今後の相場に大きな影響を与えるので、その動向は注意が必要といわれています。

9月25日から9月28日の期間の日本株の株式売買状況は次のとおりです。

私の投資銘柄は、東証1部銘柄と東証JASDAQ銘柄のため、この2つに絞って掲載していますが、東証2部、東証マザーズの株式売買状況も公表されています。


9/25~9/28

東証1部)
海外投資家  売り 81,604億円  買い 85,329億円 
個人     売り 22,719億円  買い 19,394億円

東証JASDAQ)
海外投資家  売り    939億円  買い       942億円
個人     売り  1,266億円  買い  1,271億円

東証1部では、海外投資家は3,525億円の買い越し、個人は3,325億円の売り越しとなり、JASDAQでは、海外投資家は3億円の買い越し、個人は4億円の買い越しとなっています。

今後、ルーチンワークとして、株式売買状況について毎週定期的に(忘れなければ)掲載して行きたいと思います。

米国カリフォルニア州が企業に対して2019年までに女性取締役の設置を義務付け

米国カリフォルニア州が米国上場の州内企業に対して2019年までに女性取締役の設置を義務付けるとの報道が少し前の日本経済新聞でありました。

カリフォルニアに本社を置く米国での上場企業が対象で、まずは2019年末までに少なくとも1名を女性にすることを義務付けるようです。さらに2021年までに取締役総数5名の企業では女性を最低2名、6名以上の企業では最低3名を義務付け、違反企業には初回で10万ドルの罰金が科されるとのことです。

女性が活躍しているように見える米国でも女性取締役比率は21%程度で、決して多くはなく、米国でも義務化により一気に女性の経営陣を増やそうという流れのようです。

この記事で気になったのでは、女性取締役のいる企業のROEは女性取締役のいない企業より2%程度高く、12%とのことが書かれていました。

しかし、女性取締役とROEの高さは関係ないと私は思います。その点でこの記事は女性取締役とROEの因果関係を明確にしないまま書かれている表現の適当な記事であると感じました。

そもそも女性取締役が1、2名いてどうしてROEが上がるのでしょうか?

論理的に考える必要があります。ROEを分解すると、①売上高当期純利益率 ②総資産回転率 ③財務レバレッジに分解できます。ROEが向上するということは、これらのいずれかが改善する必要があります。

まず②と③ですが、これは企業全体として取り組むべき課題で、女性取締役が1、2名いようがいまいが影響のないことです。要するに会議体である取締役会としてどういう戦略を立てられるかということです。

一方の①ですが、たしかに収益の柱になる部門のトップに女性を起用して、女性目線でマーケティングをする企業であれば、女性役員起用が①の改善に関係することも考えられると思います。しかし、収益を稼ぐという企業の「本流」から外れた部門であるCSR、法務、経理といった間接部門に女性取締役を起用した場合には、①の改善には関係ないと思います。

とすると、要は女性取締役を起用したからROEが改善されているのではなく、ROEの高い企業は世間の流れにも敏感であり、コーポレートガバナンスといった企業の収益に直結しないようなことにも人的リソースを割く余裕があるので、そういう企業は女性取締役を起用しているというのが実態かと思います。わずか1、2名の女性役員登用と企業の収益・利益が正の相関関係にあるという無理なこじつけをする報道もたまに見かけますが、論理的な説明はつかないかと思います。

女性役員登用は企業の収益・利益云々の問題ではなく、男女の雇用の均等ということからくる話です。

もっとも、いわゆる大手企業で40代後半~50代前半の役員又は役員候補になる女性は、「未婚」、「既婚であるが子供なし」、「子供がいるが1人っ子」という3層のいずれかに分かれ、この狭い母集団の中から無理やり役員を選んでいることが現実かと思います。しかし、世の中の大勢を占める子供が2名以上いる女性もフルタイムで男性と何ら変わらず働けるという環境整備を行い、働く女性の母集団を大きく広げて、その上で能力のある女性を役員に起用するのが重要と思いますので、正直にこの点を報道すべきであると考えます。

香港の投資ファンドによるアルパイン投資家説明会の開催

アルプス電気アルパインの統合を巡って、アルパインの株主である香港の投資ファンドであるオアシスマネジメント(9.9%保有)がアルパインと争っている点は報道のとおりですが、アルパインは、アルプス電気との経営統合に係る議案が12月下旬の経営統合に係る臨時株主総会で承認可決されることを条件に、1株当たり100円の特別配当を実施することを9月27日に公表しました。

アルパインの本年の定時株主総会の剰余金配当議案で会社提案の1株15円に対して、オアシスが1株当たり325円の増配の株主提案をしたものの、他の株主の賛同を得られず株主提案が否決されたことは記憶に新しいですが、今回は、特別配当を決定したようです。

一方、9月28日にオアシスは、アルパインアルプス電気との経営統合に係る臨時株主総会に向けて、アルパインの現在の価値、将来見通しを議論するためアルパインの株主、従業員、アナリスト、その他ステークホルダー向けにアルパイン投資家説明会を11月7日にシャングリア・ホテル東京で開催する予定を公表しています。

オアシスのホームページでの投資家説明会の案内にオアシスの最高投資責任者の意見として「アルパインの株主とステークホルダーが集まって、アルパインの将来について議論できる投資家会を開催できることを喜ばしく思います。他の講演者も交え、私たちはアルパインについてのリサーチや見解を共有するつもりです。11月7日はアルパインのすべての株主にとって生産的な一日になると確信しています」と書かれています。

オアシスの目的は、オアシスの提案に対する賛同を求めることにあります。

ここで注目すべきはアナリストまで参加者に入れているということかと思います。

従業員やOB従業員などファイナンスコーポレートガバナンスコードについての素人の方は、オアシスの提案自体がどこまで理解できるか不明ですし、そもそもファイナン
ス云々よりアルパインを応援したいという意識が働くように推定します。

しかし、アナリストは純粋にファイナンスの視点から、オアシスの提案の妥当性を判断するのであり、それを踏まえてアルパインの株式を保有する機関投資家は賛否を判断することになります。

スチュワードシップ・コードの下、機関投資家であるアセットマネジャーはアセットオーナーの利益に資する議決権行使判断をしなければなりません。本年の上場企業の株主総会では株主提案に賛成票を投じた機関投資家もだいぶ増えて来ています。

とすると、オアシスのこの投資家説明会の結果、オアシスの提案に賛同する機関投資家が多いような場合には、アルパインはさらに特別配当をプラスするなど自社の味方となる株主を確保するための方策が必要になってくるのかも知れません。勿論、私の勝手な想像ですが。

いずれにせよ一般個人投資家にとっては、アルパインの特別配当によりキャッシュを手に出来るので、嬉しい話かとは思います。

アクティビストである投資ファンドが買った銘柄を買うことは、今後の増配が期待できる所謂「コバンザメ投資」といえるかと思います。個人投資家はアクティビスト等の投資ファンド大量保有報告書の提出状況をウォッチして、投資ファンドの投資後に株式を取得するということは1つ有用かも知れません。

大量保有報告を毎日ウォッチすることは難しいですが、一定規模の上場企業は、大量保有報告が提出された場合、その内容の知らせを受けるサービス契約を株主判明調査会社などと契約を結んでいることが多いかと思います。

上場企業のIR部門など投資家や株主対応の部門にいる方は、このサービス契約に基づき、大量保有報告書が提出された場合、大量保有報告の内容のお知らせメールを自動的に受信できるかと思いますので(私もそうですが)、こういう情報を見て個人的に投資することもありかと思います。

ちなみに大量報告書は開示情報ですので、これを見て株式を取得することは、全くインサイダー情報ではありませんので念のため。

小林製薬が買収防衛策の廃止を決定

本日、小林製薬(4967)が来年3月に開催の株主総会終結の時で更新期限を迎える買収防衛策を継続更新しないことを決議したと公表しました。小林製薬は、時価総額約7000億円で、外国人株主比率が約22%となっています。

開示文を見ますと、廃止の理由として次のようなことが挙げられています。

・買収防衛策に関する近時の動向、金融商品取引法による大量取得行為に関する規制の浸透等により、株主の皆様に適切なご判断をいただくため、必要な情報や時間を確保するという本プランの導入目的は一定程度担保されつつある。

・当社はESGや中長期的な経営戦略の視点から、株主の皆様をはじめとするステークホルダーとの信頼関係の維持に配慮し、コーポレート・ガバナンス体制をさらに強化していくことが当社の企業価値・株主共同の利益の継続的かつ持続的な確保・向上に資するものである。

時価総額7000億円クラスで買収防衛策を導入している企業は多くはないと思いますが、小林製薬は最近の買収防衛策への批判もあって廃止したことと思います。

また、そもそも買収防衛策の発動要件を小林製薬は20%以上の株式取得としていますところ、時価総額の20%である1400億円で買収を仕掛ける買収者は通常は想定し難く、一方で、数パーセントの株式を取得して他の一般株主の賛同を得る最近のアクティビストには買収防衛策を適用できないということから買収防衛策が発動する局面は極めて低く、買収防衛策を有することがレピュテーションリスクになるので廃止したというのが本音と思います。

時価総額の大きい企業は、今後更新期限の到来を待って廃止するケースが益々増えると思います。

サイバーセキュリティー関連銘柄の期待

最近の日本経済新聞の記事でサイバーセキュリティーが掲載されていたので、本日はサイバーセキュリティーについて触れたいと思います。

9月18日の日本経済新聞で、国立大学のサイバー対策が道半ばであるとの記事がありました。日本経済新聞の調査によれば、国立大学の3割が過去3年間にサイバー攻撃による情報漏洩や業務停止の被害を受けたことがあるということです。

対策が遅れている理由は、「予算が足りない」というのが大学側の回答理由のトップだったようですが、文科省は「大学の経営層が対策の重要性を理解できていないことが出遅れの一因」と考えているようです。

産学連携で企業が国立大学と共同研究を行う中、企業側がサイバー対策に取り組んでも、大学のサイバー対策が甘く、大学側から情報が漏洩していくリスクがあるということです。

しかし、一方の、日本企業も、国立大学に比べれば対策は進んでいるものの欧米企業と比べると遅れているのが現状です。

KELA社というイスラエル軍出身のアナリストが立ち上げた会社がありますが、少し前の新聞で、この企業が日本法人を本年の秋頃に設立するということでKELA社の責任者のインタビュー記事がありました。

それによれば、オリンピック開催国はサイバー犯罪集団に狙われる傾向にあること、日本企業は、素人の一般社員がITの管理をしており、欧米ではサイバー問題は軍事レベルの問題と考えているということで意識に大きな差があるといったことが書かれていました。

私も数ヶ月ほど前に経済産業省のサイバー関連の責任者の説明会を偶々聞く機会がありましたが、その際にも日本企業のリスクの意識があまりに低いということを言っており、取締役会の実効性評価でもサイバー対策関連の評価も入れることを希望するという話でした。

サイバーセキュリティー関連の国の動きとしては、直近では、内閣府が2018年7月27日に「サイバーセキュリティー戦略」を策定・公表しています。

2020年東京オリンピックなどの国際的なイベントを控えていることを見据えてサイバーセキュリティーの基本的なあり方を明確にした上で、取り組むべき課題を明らかにして対策に万全を期すということが同戦略の背景に書かれております。内容はまだ読めておりませんので、後日、目を通してみたいと思います。

と前置きが長くなりましたが、こういう環境からサイバーセキュリティー関連の銘柄は今後一層注目されると思います。

私は先日ジャスダック時価総額100億円を下回るサイバーセキュリティー関連の銘柄を数百株購入しましたが、短期間で結構株価が上昇しています。財務状況も好調で順調にキャッシュも増えている企業です。

サイバーセキュリティー関連銘柄は最近株価も上がり、PER及びPBRともにかなり高いのですが、カジノ関連銘柄とともに今後注目していきたいと思います。

経産省がコーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針の改訂案を公表

9月5日に経済産業省のCGS研究会第9回が開催されました。

当初予定どおり改訂コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン案)が議論されたようで、経済産業省のホームページに改訂案が一式アップロードされました。

時間をあまりかけずにざっと眺めましたところ、今回の改訂CGSガイドライン案のポイントは、次のような事項になります(以下の文中の「追加」は現在のCGSガイドラインへの追加という意味を示します)。

<取締役会議長について>
取締役会議長の役割等を踏まえて、取締役会の監督機能を重視する企業において社外取締役などの非業務執行取締役が取締役会議長を務めることの意義や、そのための環境整備等について追加

<委員会の実効性評価>
取締役会と委員会とが一体として実効的に機能しているかについても、取締役会の実効性評価の一環として評価を行うことが有益である旨を追加

社外取締役の人材市場の拡充>
経営経験者、現経営陣が他社の社外取締役を引き受けることの意義について追加

<指名委員会と報酬委員会の連携>
社長・CEOの選解任の実効性向上や効率的な委員会運営の観点から、指名委員会と報酬委員会との連携を図ることが有効である旨を追記

社外取締役候補者の適格性>
社外取締役が実質的な役割・機能を果たす上でのアベイラビリティやコミットメントの重要性と、本業や兼職状況の確認等について追記

社外取締役の再任上限>
再任上限を設定することの意義について追記

社外取締役の再任基準>
社外取締役の質の担保と、社外取締役の独立性・監督の実効性の確保の観点から、社外取締役の再任基準の設定を検討すべき旨を追記

<委員会の構成・運営の在り方>
委員会でCEOの再任・解任を判断する場合には、CEOが議論に関与するのは望ましくない。必要に応じて、CEOのいない場で議論できる工夫が必要

改訂コーポレートガナンス・コードで規定された事項のいくつかの事項について、実務面でのより具体的な対応を規定した内容になっております。

ガイドラインのため強制力はないのですが、「グローバル展開の進んでいる企業は、改訂ガイドラインでの提言の積極的な実施検討を期待する」ということが付記されております。

改訂CGSガイドラインの議論された第9回会議は、これまでと同様に非開示のため、議事録は公表されず、討議の詳細は不明ですが、本年9月中に改訂ガイドラインは制定されるかと思いますので、制定されましたら、上記項目の中のポイントについてブログで紹介したいと思います。

配当議案に対する機関投資家の反対の高まり

少し前の日本経済新聞に本年6月の株主総会での配当議案(剰余金の処分)への反対比率が上がったとの記事がありました。

三菱UFJ信託銀行、アセットマネジメントOne等の運用会社の議決権行使の個別開示結果をまとめたようで、東京海上アセットマネジメントやニッセイアセットマネジメントが反対票を投じた割合が上昇したようです。

記事によれば、東京海上アセットマネジメントが配当議案の賛成率を配当性向15%から25%に引上げ、議決権行使をした706社中、34社に反対を投じたようです。

増配に関しては、本年の株主総会アルプス電気の子会社であるアルパインに対して投資ファドのオアシスマネジメントが1株当たり315円の大幅増の配当の株主提案をしていましたが、これに対してはISSが賛成推奨をしたものの否決されましたが、個別開示結果で見ましたところ、野村アセットマネジメント日興アセットマネジメントは株主提案に賛成していました。

私は、以前にアルパインの財務諸表を見たところかなりのキャッシュリッチで、1株当たり315の増配も財務に大きな影響はないと思いましたが、野村アセットマネジメント等は論理的な判断をしたようです。

ちなみに、運用会社の議決権行使の個別開示結果は、各運用会社のホームページに掲載されており、投資先企業の議案とそれに対する賛否結果が詳細に開示されています。まだご覧になったことのない方は、一度見てみるとよいかと思います。グーグルなどで運用会社名を入れて、「議決権行使基準」「個別開示」等のキーワードを入れると各社のホームページに飛びます。

さて、配当性向に話は戻りますが、配当性向30%を1つの目安にしている上場企業が多いかと思います。

その理由は良く分かりませんが、日本の上場企業の配当性向が平均で30%程度ですので、これにあわせて何となく30%を基準においているのが圧倒的多数の上場企業かと思います。

しかし、前にも書きましたが、配当性向30%など特に意味はないのであり、繰越利益剰余金とそれに見合ったキャッシュがあれば配当はできます。配当は毎期の純利益が原資ではなく、繰越利利益剰余金が原資です。

2017年度の法人企業統計によれば、内部留保が446兆円で前年度から10%増加し、6年連続で過去最高になっています。

内部留保の使い道に対する議論も今後高まるように思いますので、上場企業は、投資ファンドが増配を求めてきたときに自社の財務状況、今後の設備投資、M&Aの考えを十分に考慮して、理論上どこまで還元が可能であるかという理論武装をきちんとしておく必要があるのではないでしょうか。

突然に投資ファンド理論武装をした頭の良い個人株主の集団が、配当増を提案したきた場合、横並びで30%を配当性向にしているという理由は通用しないので、どこまで配当を増やせるのか、増やさない場合には何故そうしているのかの点について、自社の属するセクターの他社企業と比較するなどの理論武装をしておく必要があります。